ChatGPTを用いた犯罪・不正利用の実態とは?具体的な手口と被害を防ぐ対策を解説

押さえておきたいポイント
  • ChatGPTが犯罪の補助ツールとして悪用され、サイバー犯罪が巧妙化 
  • 情報漏洩を防ぐため個人情報や機密情報の入力および公序良俗に反する利用は厳禁 
  • 手口の把握やChatGPT公式サイトの利用など、リスクを最小限に抑える工夫が必要

ChatGPTの普及とともに、犯罪に悪用されるリスクも増えています。日本語を話せないはずの人が日本人女性になりすまして、流暢な日本語のメッセージを送ったり、企業や団体を装って、偽サイトへのアクセスを誘導する文章を送ったりしています。

これらは全てChatGPTで瞬時に生成できるため、私たちの身近にもさまざまな危険が潜んでいます。この記事では、ChatGPTの悪用による想定される被害、実際の犯罪や不正利用の事例、被害に遭わないための対策を紹介します。

最後まで読むことで、ChatGPTを用いた犯罪の手口を知ることができ、自身への被害を防げるようになります。

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ChatGPTを用いた犯罪・不正利用は実際に発生している

ChatGPTを用いた犯罪・不正利用は実際に発生している

本来、ChatGPTは文章作成や要約、情報整理、アイデア出しなどを支援する便利なツールです。しかし、実際には詐欺メッセージやフィッシングメールなどのサイバー犯罪の文面作成、不正行為の情報収集などに悪用された事例があります。これに対し、OpenAIは有害なリクエストには応答せず、アカウント警告が行われるとしました。※1

また、重大な危害の脅威がある場合、人間のレビューチームが確認したうえで警察などへ通報される可能性もあるとしています。

ただし、全ての犯罪や不正行為を防げるわけではありません。例えば「好きな人に連絡したいから文案を考えて」と指示して、生成された文章がなりすましに利用される可能性もあります。

ChatGPTを利用する際は、良識の範囲内で安全に活用するのはもちろん、犯罪行為の検知は完全ではないため、被害者になる可能性もあることを把握しておきましょう。

ChatGPTを使った犯罪・不正利用で考えられる被害

ChatGPTを使った犯罪・不正利用で考えられる被害

ChatGPT自体が犯罪を行うわけではありませんが、犯罪者が文章生成や偽装を効率化する道具として悪用すると、金銭詐取、認証情報の窃取、端末感染やデータ暗号化などの被害が生じます。ここでは、被害者側に起こりやすいリスクを整理します。

フィッシング攻撃

ChatGPTを悪用すると、銀行・ECサイト・宅配業者・社内連絡などを装う偽メールの文面を容易に量産可能です。相手に合わせて文面を調整できるため、個人名や利用サービスに寄せた巧妙な誘導が増加しています。

偽サイトへ誘導し、ID・パスワード・カード情報などを入力させて不正ログインや不正決済へつなげる手口が一般的です。企業においては、1人の認証情報流出が社内システム侵入や取引先被害に波及するかもしれません。

以前のように「日本語が変だから怪しい」とは限らないため、自然な文面でもURLや送信元の確認が不可欠でしょう。

マルウェアや暗号化ツールによる攻撃

ChatGPTの悪用で不正プログラム作成のハードルが下がり、専門知識が浅くても攻撃の補助情報を得やすくなりました。実害は以下のとおりです。

  • 情報漏洩
  • 端末ロック
  • データ暗号化
  • 業務停止

個人なら写真・連絡先・保存パスワードの流出、企業なら顧客情報漏洩・復旧費用・営業停止損失へと被害が拡大します。また、偽の関連ツールを装ってマルウェアが配布されるケースもあり、安易な導入は危険です。

被害は単にデータが盗まれるだけでなく、使えなくされる・復旧コストが発生する点まで押さえておく必要があります。

なりすまし詐欺

ChatGPTの悪用により、家族・上司・取引先・恋愛相手などを装った自然な文章が短時間で作りやすくなりました。従来の手がかりであった不自然な日本語の違和感が薄れ、非常にだまされやすい状況です。

具体的な被害としては、以下のとおりです。

  • 送金要求
  • 電子マネー購入
  • 認証コードの聞き出し
  • 個人情報流出
  • アカウント乗っ取り

さらに、ChatGPTの画像生成により、偽の本人画像やプロフィールと組み合わせることで信用性が増します。

AIを使った犯罪について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

ChatGPTの悪用・犯罪ケース

ChatGPTの普及に伴い、さまざまな不正利用や犯罪の事例が報告されています。学生による課題の代行から銃撃事件まで、悪用リスクは広範囲です。ここでは、ChatGPTを悪用した不正行為や犯罪の具体例を解説します。各リスクの実態を把握し、安全な利用への理解を深めましょう。

試験・課題の代行

上記はChatGPTによって基本情報技術者試験の内容を回答させた例です。

ChatGPTによって、学校の課題やオンライン試験に悪用されることで、不正な資格取得や教育への悪影響が懸念されます。実際、スタンフォード大学の学生のうち、17%が「課題または試験にChatGPTを使用している」と回答しています。※2

また、ChatGPTによる学習への悪影響を懸念して、ニューヨーク市では学校でのChatGPTの利用を禁止しました。※3一方で、ペンシルベニア大学のモリック教授は、学習においてChatGPTの使用を学生に義務付けています。※4

フェイクニュースの作成

ChatGPTではそれらしい記事やニュースも作成可能です。例えば、日本が政策金利を引き上げたという内容の嘘のニュース文面を生成できます。実際のニュースと比べても見分けがつかないクオリティになっており、このニュースだけを見たら真実かと思ってしまいます。

また東洋経済によると、ChatGPTによるフェイクニュース拡散で中国の政府系放送局が対応に追われるなどの実害も報告されています。※5

なりすまし

ChatGPTでは、他人が書いたような自然な文章を簡単に生成可能です。特定の性別・年齢層・職業などの属性を指定して出力させることで、ターゲットの人物像に合わせた文面を生成できます。

こうした機能を悪用した場合、他人になりすまして相手の信頼を利用し、不正に個人情報・金銭を搾取する小中規模の犯罪が発生します。実際にOpenAIのレポートでも、ロマンス詐欺にChatGPTなどのAIが悪用された事例を報告しています。※6

詐欺グループは主に中国語を話すメンバーで構成されていましたが、生成AIを活用することで、若い女性を装い自然な英語や日本語でメッセージを送っていました。

フィッシング詐欺

フィッシング詐欺とは、実在する企業や団体などを装って偽のサイトへ誘導し、個人情報や金銭を騙し取る犯罪です。生成AIを利用して偽のメール・SMSの文面を作成し、偽サイトへ誘導する手法が考えられます。

実際に、ChatGPTの偽サイトやアプリが登場しており、以下の事例が確認されています。※7

  • IDやパスワードなどのユーザー情報を不正に取得
  • アドウェアやスパイウェアのインストールに誘導
  • ユーザーの知らないうちに高額なSMSサービスに登録させ、料金を請求

これらはChatGPTを使った犯罪ではありませんが、上記のような事例にChatGPTが悪用される懸念があります。

マルウェア作成・ハッキングへの悪用

ChatGPTは悪意のあるプログラムコードの生成に利用可能であり、すでにサイバー犯罪者による悪用が始まっています。※8実際に、感染デバイスから情報を盗み出すマルウェアの作成過程がネット上に公開されました。

また、ペネトレーションテストを装った質問に対し、AIがハッキング活動に利用可能な手順を生成したケースも報告されています。※9

ChatGPTの潜在的な悪用の提案を求める

このように、一般的なファイル形式を悪用したプログラム作成など、国家・企業規模の脅威に発展するおそれがあります。

高校生によるサイバー攻撃

若年層が、生成AIを用いてサイバー犯罪に手を染める事例も発生しています。国内では、高校生がChatGPTを悪用して快活CLUB公式アプリのサーバーへサイバー攻撃を仕掛け、逮捕される事件が起きました。※10

ChatGPTを利用したサイバー攻撃の構図
参考:https://www.yomiuri.co.jp/pluralphoto/20251204-GYT1I00041/

この事件では、高校生が情報窃取のために自作したプログラムについて、攻撃対象のシステムの防御策をすり抜ける方法や、エラーが出た際の対応などをChatGPTに質問し、攻撃プログラムを改良していた手口が判明しました。

プロの犯罪者でなくても、生成AIの支援を受けることでサイバー攻撃が可能になってしまいます。

暴力・凶悪犯罪への利用

ChatGPTが殺人や銃乱射といった、直接的な暴力・凶悪犯罪の実行を補助するリスクも顕在化しています。実際にアメリカのフロリダ州で発生した銃乱射事件では、容疑者が犯行前にChatGPTとやり取りしていたことが判明しました。※11

フロリダ州の司法長官はAIによる犯行の助言・教唆があったとして、開発元のOpenAIの刑事責任を問う捜査を開始しています。同州の司法長官は「人間であれば殺人罪で起訴していただろう」と述べています。AIが人命に関わる重大な犯罪に利用される危険性は無視できないでしょう。

プロパガンダへの利用

ChatGPTで政治的な主張や陰謀論を生成し、プロパガンダに活用することも可能です。 過去には、ChatGPTが政治的な公平性を欠いているのではとの指摘もありました。

この指摘が正しいか定かではありませんが、ChatGPTが、ドナルド・トランプ氏のポジティブな面に関するポエムを書くことを拒否した後、ジョー・バイデン氏に関する同テーマのポエムを書いた事例もあります。※12

またOpenAIが、ChatGPTを悪用してアメリカ大統領選挙の偽情報を生成したイランのアカウントを特定し、停止させた事例もあります。情報を取得するときは、本当に正しいか確認しましょう。

ChatGPTに聞いてはいけないこと

ChatGPTは便利な一方で、何でも入力してよいわけではありません。入力内容によっては、情報漏洩やトラブルの原因になることもあります。特に注意したいのは、個人情報や企業の機密情報、そして公序良俗に反する内容です。

個人情報や企業の機密情報

ChatGPTに個人情報や企業の機密情報、顧客情報などを入力するのは避けましょう。入力した内容がAIに学習され、サービス改善や品質向上のために活用されたり、意図しない形で別の回答に再利用されたりする可能性はゼロとはいえません。チャット履歴を削除しても、サーバー上で一定期間保管・管理されます。以下の内容を入力しないよう、注意してください。

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入力を避けたい情報具体例
個人情報氏名、住所、電話番号、メールアドレス、生年月日
金融・認証情報口座情報、クレジットカード情報、パスワード、認証コード
企業の機密情報顧客情報、未公開企画、契約内容、社内資料、売上データ、ソースコード
ChatGPTに入力してはいけない情報

また、見落としがちなのが、添付ファイルです。アップロードしたファイル内に機密情報が記載されていて、意図せずChatGPTに与えてしまう可能性があります。個人や企業の信用低下のおそれがあり、最悪の場合、損害賠償の請求もあるため注意しましょう。

公序良俗に反する内容

公序良俗に反する内容もChatGPTに聞いてはいけません。

  • 誹謗中傷や名誉を傷つける内容
  • 差別・脅迫・嫌がらせにあたる内容
  • 犯罪や違法行為の相談を含む内容
  • 自分や他人を傷つけることをあおる内容

たとえ軽い気持ちでも、誰かを傷つけたり、現実のトラブルや被害につながったりする可能性があります。また、重大な脅威に間しては、アカウントが警告を受け、警察などに通報される可能性もあります。ChatGPTは不満のはけ口ではなく、安全に情報を整理したり考えをまとめたりするための補助ツールとして使うべきです。

もし深刻な悩みや衝動がある場合は、警察や弁護士、相談窓口など適切な専門機関に相談しましょう。

ChatGPTを企業利用するときのリスクについては下記で解説

ChatGPTを使った犯罪・不正利用への対策

ChatGPTを使った犯罪・不正利用への対策

ChatGPTを安全に使うには、偽サイトや詐欺、情報漏洩といった周辺リスクにも目を向けることが大切です。基本的な対策を知っておくだけでも、被害に遭う可能性は下げられます。

公式サイトを利用する

ChatGPTを使うときは、必ず公式サイトや公式アプリからアクセスするのが基本です。検索結果やSNS広告のリンクなどから入ると、本物そっくりの偽サイトや非公式サービスに誘導されることがあります。

ログイン情報や支払い情報を入力すると、個人情報やクレジットカード情報が盗まれるかもしれません。普段からブックマークしたページを使う、アプリは公式ストアからのみ入手するといった基本動作を徹底するだけでも、不正利用のリスクは大きく下げられます。

発信元のURLを確認する

OpenAIやChatGPTを名乗るメールやSMS、DMが届いても、すぐにリンクを開かないことが重要です。見た目が自然でも、URLが少しだけ違う偽ドメインや、ログイン画面を装ったフィッシングページの可能性があります。

特に、急いで対応させようとする文面ほど注意が必要です。以下のポイントを確認しておきましょう。

  • openai.comやchatgpt.comなどの公式ドメインか
  • 不自然な文字列や、1文字だけ異なるURLになっていないか
  • 短縮URLや転送URLでリンク先が見えにくくなっていないか

少しでも不安がある場合は、届いたリンクを使わず、自分で公式サイトを開き直すほうが安全です。

デバイスを最新バージョンにアップデートする

スマホやパソコン、ブラウザ、アプリを最新の状態に保つことも、セキュリティ対策のひとつです。古いバージョンのままだと、すでに知られている脆弱性を突かれ、不正アクセスやマルウェア感染の被害を受けやすくなります。

ChatGPTを使う端末では、OSやブラウザの更新だけでなく、セキュリティソフトや拡張機能の管理も重要です。自動アップデートを有効にしておけば、更新漏れを防ぎやすくなり、日常的なリスク対策としても有効です。

犯罪・不正利用の手口を知っておく

被害を防ぐには、どのような手口があるのかを事前に知っておくことが大切です。最近はChatGPTを使って自然な日本語の詐欺文面を作成できることもあり、以前より不審点を見抜きにくくなっています。文章が丁寧だから安全とは限らず、むしろ巧妙になっていると考えたほうがよいでしょう。

  • 本物そっくりのログイン画面に誘導するフィッシング
  • サポート担当者や企業を装ったなりすまし連絡
  • 不安をあおって個人情報や支払い情報を入力させる詐欺文面

「今すぐ対応が必要」「アカウント停止」といった急がせる表現が出てきたら、いったん立ち止まって確認する習慣を持つことが重要です。

犯罪・不正利用を検知する仕組みを構築

企業や組織でChatGPTを安全に運用するには、個人の注意やリテラシーに頼るのではなく、組織全体で不正利用を早期に発見する仕組みづくりが不可欠です。例えば、以下のような対策を整えておくと、被害の拡大を防ぎやすくなります。 

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対策内容
不審ログイン通知見覚えのない端末や場所からのアクセスをすぐ把握する
更新管理OS・ブラウザ・アプリを最新状態に保つ
利用状況の確認SMS送信数や通信料金の急増を監視する
URL対策怪しいリンクや不審サイトへのアクセスを防ぐ
相談体制の整備異常時の相談先を明確にする
不正利用の対策

システム的な監視が難しい小規模な組織であっても、まずは運用ルールの明文化と、定期的な実態の見直しから始めるのが現実的です。

生成AIの社内導入課題について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

よくある質問

ChatGPTの会話は監視されていますか?警察に通報されることはありますか?

すべての会話を監視されているとまでは言えません。ただし、運営側は安全対策や規約違反対応のために自動検知や一部の人的レビューを行うことがあります。さらに、他人への重大で差し迫った危害があると判断された場合は、法執行機関に連絡される可能性があります。

ChatGPTの何が危険ですか?犯罪に悪用されやすい理由は何ですか?

ChatGPT自体が危険というわけではありません。ただし、自然な文章・画像・指示文を短時間で大量に作れるため、なりすまし、フィッシング、偽情報の拡散、マルウェア作成の補助などに悪用されやすく、従来なら気づけた「不自然さ」が薄れやすい点が厄介です。

ChatGPTは危険だから使わないほうがよいのでしょうか?

一律に使わないほうがよいというわけではありません。 便利なツールですが、犯罪や不正の補助として利用しない、個人情報・機密情報を入力しない、重要な判断は必ず裏取りする、怪しい依頼文やURLを信用しすぎない、といった基本ルールを守って使うことが大切です。必要に応じて履歴や学習利用の設定を見直し、機密性が高い内容は入力しないようにしましょう。

ChatGPTの犯罪リスクを知り、安全に活用しよう

ChatGPTを使った犯罪・不正利用で考えられる被害

ChatGPTは文章をまとめるのに便利な反面、犯罪や不正利用の道具として悪用される危険があります。なりすましやフィッシング詐欺の文面作成に加え、不正なプログラム作成の補助にも使われます。

被害を防ぐには、個人情報や機密情報を入力しないように注意し、公式サイトの利用を徹底しましょう。また、企業や組織でも不審なログインを監視する仕組みを整え、全体で対策を進める必要があります。

想定される手口を正しく理解し、トラブルを避けながら安全な運用を心がけてください。

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最後に

いかがだったでしょうか?

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監修者田村 洋樹

株式会社WEELの代表取締役として、AI導入支援や生成AIを活用した業務改革を中心に、アドバイザリー・プロジェクトマネジメント・講演活動など多面的な立場で企業を支援している。

これまでに累計25社以上のAIアドバイザリーを担当し、企業向けセミナーや大学講義を通じて、のべ10,000人を超える受講者に対して実践的な知見を提供。上場企業や国立大学などでの登壇実績も多く、日本HP主催「HP Future Ready AI Conference 2024」や、インテル主催「Intel Connection Japan 2024」など、業界を代表するカンファレンスにも登壇している。

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