生成AIによる教育業界の業務効率化!教務効率化と授業品質UPが狙える活用法や実際の導入事例を紹介

押さえておきたいポイント
  • 教育現場の人手不足解消やデジタル社会を踏まえた教育の実現にも生成AIが効果的
  • 生成AIは教務での活用から授業での生徒向け提供まで幅広くカバー
  • すでに、アクティブラーニングや授業の調べ物で生成AIを有効活用している学校もある

「教員の数は減っているのに、多様化する子どもたちへのきめ細やかな対応が求められる……」「既存の指導要領に上乗せして、デジタル社会を踏まえたカリキュラムを組まなくてはいけない……」など、目まぐるしい令和の教育現場にお悩みの先生方は多いはずです。

そんな教育現場の課題ですが、近年注目されている生成AIが解決してくれるかもしれません。生成AIでできることは「通知表・お便りの作成」から「授業の刷新・品質向上」まで多種多様です。

当記事では、そんな教育現場での生成AI活用について、具体的な活用シーンと実際の導入事例を中心に詳しくご紹介します。生成AIの活用イメージをつかんでいただくためにもぜひ、最後までお読みください。

\生成AIを活用して業務プロセスを自動化/

教育業界が抱える問題

参考:https://www.mext.go.jp/content/20260302-mxt_kyoikujinzai01-000047773_1_1.pdf

教育業界が抱える問題の代表例は以下のとおりです。※4、5

  • 教員不足や長時間労働
  • 生徒ごとのレベルに合わせた教育指導ができない
  • 授業以外の雑務が多い
  • 情報化・デジタル社会を前提とした教育カリキュラムが十分でない etc.

特に、教師の長時間労働は大きな課題です。教師の月45時間を超える時間外在校時間の割合は小学校で約25%・中学校で約43%・高校で約28%と、早急な改善が求められます。

また、教員不足も課題です。文部科学省の「教師不足」に関する実態調査によると、令和7年5月1日時点では全体で3,827人の教員が不足しています。

こうした現状が悪循環となり、教師を目指す人はさらに減っていくことが懸念されています。

ただし、授業の準備やその他雑務などは生成AIで効率化することも可能なため、うまく活用すれば教育業界特有の悩みを解決できるかもしれません。

当記事では、教育業界における生成AIの活かし方や実際の導入事例などを解説していきます。

ChatGPTと教育業界の関係について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

教育業界における生成AIのユースケース

生成AIは、教育業界における以下6つの場面で活躍が期待できます。

  • 個別指導
  • 学校運営での活用
  • 高度な語学学習
  • 外国籍の生徒への対応
  • アクティブラーニングの補助
  • デジタル教育への活用

これらの場面で生成AIを使いこなせば、教師1人あたりの業務負担が減るはずです。以下で詳細を解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。

個別指導

教育業界の課題として、生徒のレベルに合わせた教育指導ができないというものがありますが、生成AIを使用すればこの課題を解決できる可能性があります。

データ分析を得意としている生成なら、生徒一人ひとりの学習データを分析し、その理解度や進捗に基づいてカスタマイズされたアドバイスを提供できるからです。

たとえば、特定の科目でつまずいている生徒には、その生徒に合った補足説明や練習問題を自動的に提示し、学習を支援できます。また、得意分野ではさらなる挑戦を促すアドバイスを行い、学びの意欲を高めることが可能です。

学校運営での活用

生成AIを教育現場で使用すれば、以下のような学校運営に関する業務(教務)も自動化・効率化できます。

  • 面談などの日程合わせ
  • 教材の生成
  • 採点業務
  • 各種お便りの原案作成
  • 校内研修の補助etc.

これらの業務を効率化できると、教師の負担軽減にもつながるので、長時間労働等の課題を解決可能です。もっと広い視点でみると、教師の働き方が改善されれば、教師不足の現状も徐々に解決に向かうことも期待できます。

また、教師はよりよい授業の考案や生徒とのコミュニケーションにより多くの時間を割けるのも大きなメリットです。結果として、教育の質の向上につながります。

高度な語学学習

生成AIを使用すると、語学学習において以下のメリットがあります。

  • 多言語を勉強できる
  • 英会話ができる
  • さまざまな言い回しを勉強できる etc.

生成AIのなかには、音声入力や音声出力に対応したものもあるので、1人で英会話の練習もできます。生成AIが適切な文法や発音の指導を行ってくれるので、即座に修正ポイントを把握できるのが魅力です。

また、生成AIは多言語に対応しているので、英語以外にもさまざまな言語を学ぶことで、より実践的な言語スキルを効果的に習得できます。これにより、生徒は高度な語学能力を短期間で習得することが可能です。

外国籍の生徒への対応

教師や周りの生徒が外国籍の生徒の母国語を理解できていないがために、コミュニケーションに課題を抱えているケースが多々あります。

本来、すべての生徒にとって教育の機会が平等であるべきですが、外国籍の生徒に対してはその平等性を確保できていないのが現状です。

しかし、生成AIは多言語対応が可能で、生徒の母語での学習支援や説明を提供できます。たとえば、授業内容や教材をリアルタイムで翻訳したり、外国語での指導をサポートしたりすることで、言語の壁を超えた教育を実現可能です。

また、AIは生徒の文化的背景を考慮した個別の学習プランを作成し、適切なサポートを提供できます。これにより、外国籍の生徒もスムーズに学習に取り組めるので、彼らの教育機会の平等性が確保できるというわけです。

アクティブラーニングの補助

生成AIは児童生徒らが主体的にアイデアを出す「アクティブラーニング」にも応用が可能です。

アイデアを生成AIに入力してもらうことで、考えを整理したり視点を補ったりといった補助が受けられます。生徒・教員に次ぐ第三の視点が加わることで、より多角的かつ深い議論が可能となるでしょう。

デジタル教育への活用

生成AIは下記に挙げるような、デジタル教育にも活用ができます。

  • 情報モラル・取捨選択能力の育成
  • プログラミング思考のような問題解決能力の育成
  • プログラミングの補助 etc.

そもそも生成AI自体が、「誤った情報を出力することもある」や「筋道立てて入力しないと望み通りの出力が得られない」などの特徴をもち、デジタル教育の教材にうってつけです。

日々の授業に生成AIを取り入れることで、児童生徒らのデジタルリテラシーを自然に伸ばせるかもしれません。

教育業界に生成AIを取り入れた導入事例

教育業界に生成AIを取り入れた導入事例として、6つの機関をご紹介します。それぞれの事例を確認すれば、自分たちの環境で生成AIを活かせるアイデアが見つかるかもしれません。詳細を解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。

事例①立命館大学 

立命館大学は、生命科学部の英語授業に「ChatGPT」と機械翻訳を組み合わせた学習ツール「Transable」を試験導入しています。※1

学習ツールの仕組みとしては、機械翻訳が直訳した文章をChatGPTが自然な文章に訳して、さらに翻訳した文章を解説してくれるとのこと。

実際の授業では、直訳が難しい日本語を自力英訳・機械翻訳・Transableによる英訳を実施し、どの方法で英訳されたかを予想するといった使われ方をしています。

授業を受けた生徒によると、ChatGPTによる英訳は日本語の細かいニュアンスまでしっかり伝わるとコメントするなど、その手応えを感じているようです。

事例② 愛媛大学教育学部附属中学校

愛媛大学教育学部附属中学校では、授業中の生徒の質問に対して、一部ChatGPTで返信を行う取り組みを実施しています。※2

理科の実験にて水溶液の性質を学んだあと、最後の振り返りとして生徒が入力した感想や質問に対して、ChatGPTが瞬時に返答しているそうです。

以下、やり取りの一部を例として共有します。(実際の入力内容とは異なる可能性があります)

生徒:「マグネシウムがお酢に溶けたのはどういった変化が起きていたのか」

ChatGPT:「マグネシウムがお酢に溶けると、マグネシウムが酸化され、水素ガスが発生します。この反応は『酸化還元反応』と呼ばれます」

生徒:「実験がうまくいかず、今後改善したい」

ChatGPT:「実験の改善を考えているという姿勢、素晴らしいです。このようなチャレンジ精神を持っていることは理科学習で大切なことです。引き続き頑張ってください!」

質問に対して回答している様子は想像できると思いますが、2番目の生徒を鼓舞するような文章には驚きを隠せません。まるで本当に先生が励ましてくれているかのような文章なので、生徒のやる気を維持することにもつながりそうです。

教師の負担削減にもつながるので、ぜひ真似してみてください。

事例③ つくば市立みどりの学園義務教育学校

つくば市立みどりの学園義務教育学校は、文部科学省のリーディングDXスクール生成AIパイロット校に指定されている学校です。教師向けに生成AIの利用について研修を繰り返し、今では授業でも生成AIを活用しています。※3

実際に授業で使用したシーンとして、道徳の授業が挙げられるとのこと。「むねにとげがささる」という意味について生徒に説明する際に、まずは生成AIに生徒が質問して、生徒が生成AIに触れる機会も確保しています。

ほかにも、国語の授業の題材としてよく使われる、「走れメロス」のメロスの心情を理解する目的でも生成AIが使われています。

ここで紹介した事例から、つくば市立みどりの学園義務教育学校では教師の仕事を効率化するだけでなく、生徒が生成AIに触れるという目的に特化していることがわかりますね!

事例④ 神奈川県相模原市立中野中学校

神奈川県相模原市立中野中学校は、生成AIを生徒の視点を補うツールとしてフル活用しています。※7

単に発表内容の添削に使うだけでなく、資料を要約して自分で調べた内容と比較してもらう、バスケットボールの練習風景を入力して課題を議論してもらうといった使い方をしています。

また、国語の授業では、和歌から受ける印象を言語化・プロンプト化して画像生成AIに入力するという試みも。クラスメイトどうしで生成された画像を比較して、しっくりくる表現を探ってもらうという取り組みをしています。

事例⑤ 熊本県熊本市立桜山中学校

熊本県熊本市立桜山中学校では、生徒の調べ物に生成AIを活用しています。※8

こちらでは、生徒らが修学旅行の旅程・理科の実験計画・地域社会への意見文…etc.を作成する際の補助に生成AIを使用。生徒たちが調べ物をするために必要な知識(修学旅行なら旅行先の土地勘)を持っていない状態でも必要な情報が得られる、という効果がみられました。

また、教員側も通知表や学級通信の叩き台作成や記号選択問題の採点、発表会の意見要約・分類などに生成AIを活用しているとのことです。

事例⑥ 苅田町立新津中学校

苅田町立新津中学校では、主に教員の業務に生成AIを活用しています。※9

研修や授業の内容をブラッシュアップする際の相手役として使っているほか、各人らが業務で作成したプロンプトを校内ポータルサイトで共有するといった試みもなされています。

また、生徒らも修学旅行の旅程決めや英作文・スピーチの添削、発表内容の壁打ちに生成AIを活用しているとのことです。

教育現場に生成AIを導入するステップ

ここでは教育現場に生成AIを導入するまでの流れを4つのステップに分けてご紹介します。

STEP

導入目的・方針の決定

生成AIを導入するにあたってはまず、導入目的・方針を決めることが大切。何にでも使えてしまう生成AIだからこそ、目的・方針に沿って使い道を限定したほうが迷わずに活用できます。

教育現場の場合は、「生成AIを導入して教務・教育を改善したい」というふんわりとした目的ではなく、以下のような具体的な導入目的・活用方針を定めておくとよいでしょう。

  • 教員自身の業務に活用し、時短を目指す
  • 生徒らのアクティブラーニングに提供し、深い理解を促す
  • 生徒らの調べ物に提供し、アクセスできる情報を増やす
  • 生徒らの成果物の添削に提供し、多角的な視点を与える
STEP

導入先の業務の決定

続いては、生成AIを導入する業務・範囲を具体的に決めていきます。教育現場の場合は、下表の大分類・小分類・具体例の順番で生成AIの使い所を絞り込んで決めるのが便利です。

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大分類小分類具体例
教員自身の業務への活用採点・通知表作成・記号選択問題の自動採点
・通知表の評価基準の叩き台作成
お便りの作成・お便りの文章の叩き台作成
・外国籍生徒向けの翻訳
スキルアップ・授業練習の壁打ち相手
生徒への提供調べ物・生徒らの予備知識の範囲を超えた調べ物
・具体性・事実性が重要でない調べ物
アクティブラーニング・意見の壁打ち
・補完・意見の論拠の提供
・調べ物
添削・英作文・英語スピーチの添削
・日本語文の添削
・壁打ち
・図画等へのアドバイス
教育現場での生成AI活用の分類
STEP

モデル・ツールの選定

生成AIの使い所が決まったら今度は、どの生成AIモデルやツールを使うかも決めていきます。

教育現場の場合は基本的に、簡単に導入できてテキスト生成も画像生成・分析もこなせるオールインワンの生成AIチャットがおすすめです。ChatGPTまたはGeminiがこれに該当します。

また、私立校であれば、以下のようなカスタマイズできる生成AIソリューションも選択肢に入るでしょう。

  • 単体の画像生成AI
  • 独自情報を回答に反映できるチャットボット(RAG)
  • 学内ポータルサイトと統合した生成AIチャット
STEP

導入・改善

最後は、実際に生成AIを教務や授業に導入していきます。この段階では、生成AIの使用を推奨する場面またはそうでない場面を明確にガイドライン化して教員・生徒らに示すことが大切です。

また、定期的に生成AIの活用状況を追跡し、よりよい提供形態を探っていきます。導入して終わりではなく、より業務効率や教育効果を高められる方法はないか、改善を重ねていきましょう。

生成AI導入の流れについて詳しく知りたい方は、下記の記事もあわせてご確認ください。

教育現場での生成AI活用についてのよくある質問

ここでは、教育現場における生成AI活用についてのよくある質問・FAQにお答えしていきます。

生成AIを教育に活用するデメリット・課題は何ですか?

教育現場における生成AIの問題点としては、下記が挙げられます。

  • 生成AIが誤った情報を出力(ハルシネーション)する可能性
  • 生徒たちが生成AIに依存して自分で考えなくなるリスク
  • 生徒を評価する際に、それが本人の純粋な実力なのかどうかを判別にしにくいリスク
  • 入力した個人情報がAIモデル自身の学習に使われるリスク

生成AIを教育現場に導入する際には、「情報リテラシー教育を行う」や「出力内容の検証・修正をさせる」といった対策が有効と考えられます。

文部科学省は生成AIの教育活用についてどのような方針を示していますか?

文部科学省は「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン」において、教育現場での生成AIの活用方針を以下のように示しています。

参考:https://www.mext.go.jp/content/20241226-mxt_shuukyo02-000030823_002.pdf
  • 利用を全面禁止or義務化するのではなく、適切な利活用を推奨
  • 教職員自身が生成AIの長所・短所を理解しておくことがまず重要
  • 教育の目的にあわせて生成AIの使い所を吟味することが必要
  • 各教科での実践だけでなく、生成AI自体の背景知識を学ぶことも大事

生成AIはどの教科で活用できますか?

下表のとおり、生成AIはほぼすべての教科で活用ができます。

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教科活用例
国語・作文や発表内容の添削
・読解支援
英語・英作文・スピーチの添削
・英会話の練習相手
数学・情報・グラフの読み取りの補助
・コーディング
理科・社会・発表内容の壁打ち
・調べ物
・資料の要約・整理
美術・作品の添削(マルチモーダルAIを使用)
・構図の生成
体育・練習風景の動画からアドバイスの提供
道徳・総合・発表内容の壁打ち
各教科における生成AIの活用シーン

生成AIを活用して教育業界の困りごとを解決しよう

生成AIは教育現場でも活躍が期待されています。

教務の効率化から授業の品質向上まで幅広く活用可能で、実際に生成AIを導入して成功した事例も出てきています。使い所を絞ってガイドラインを示しておくことで、どの教育現場でも一定以上の導入効果が期待できるでしょう。

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最後に

いかがだったでしょうか?

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監修者田村 洋樹

株式会社WEELの代表取締役として、AI導入支援や生成AIを活用した業務改革を中心に、アドバイザリー・プロジェクトマネジメント・講演活動など多面的な立場で企業を支援している。

これまでに累計25社以上のAIアドバイザリーを担当し、企業向けセミナーや大学講義を通じて、のべ10,000人を超える受講者に対して実践的な知見を提供。上場企業や国立大学などでの登壇実績も多く、日本HP主催「HP Future Ready AI Conference 2024」や、インテル主催「Intel Connection Japan 2024」など、業界を代表するカンファレンスにも登壇している。

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