
- 映像・音声・発言内容をAIが解析し、候補者の適性を可視化するオンライン完結型の面接手法
- 採用工数削減や評価基準の一貫性向上に強く、新卒・大量採用で特に効果を発揮
- AI任せにせず、最終判断は人が行うハイブリッド運用が前提
ここ数年で、AI面接は新卒採用だけでなく、中途採用・アルバイト採用まで広く使われるようになりました。
世界のAI採用ツール市場は2022年時点で数億ドル規模とされ、2030年には2倍近い規模に成長すると予測されています。国内でも、人材不足や採用競争の激化を背景に、面接業務の一部をAIに任せる動きが加速しています。
一方で、AIによる評価の透明性やバイアス(偏り)への懸念から、業界団体によるガイドライン整備や、企業側に説明責任を求める動きも進んでいます。
本記事では、これからAI面接の導入を検討している人事・採用担当者の方に向けて、「AI面接とは何か」という基本から、メリット・デメリット、導入時の注意点、そして国内の代表的なAI面接サービスまで、2025年時点の情報を踏まえてわかりやすく整理していきます。
\生成AIを活用して業務プロセスを自動化/
AI面接とは
AI面接とは、応募者の映像・音声・発言内容などをAIが解析し、候補者の特徴や適性を評価する面接手法のことです。具体的には、カメラとマイク付きのパソコンやスマートフォンから、専用アプリやWebブラウザを通じて質問に回答すると、その映像や音声データがAIによって分析されます。
AIは、話している内容(キーワード・論理の構成・敬語の使い方など)に加えて、表情や視線の動き、声のトーンや話す速度といった非言語情報も組み合わせてスコアリングします。
その結果をもとに、「自社の活躍人材に近いか」「対人コミュニケーション力はどの程度か」といった観点で候補者を比較できるようにするのがAI面接の役割です。
ほとんどのサービスはオンライン完結型で、応募者は自宅などから24時間いつでも面接を受けられます。
企業側は、従来のように会場・面接官・日程を細かく調整する必要がなくなり、新卒の一次選考やアルバイト採用、大量採用が必要なポジションなどで、大きな工数削減効果を見込めます。
ただし、AI面接はあくまで「人による選考を支援するツール」であり、最終的な合否判断を置き換えるものではありません。
AIが出したスコアやコメントを参考にしつつ、対面やオンラインでの最終面接で人が見極める、という組み合わせで運用する企業が増えています。
なお、AIによる業務効率化について詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。

AI面接のタイプ
AI面接には、大きく分けて「録画型」と「対話型」の2つの形式があります。どちらを選ぶかで、候補者体験も得られるデータも変わるため、導入前に整理しておくとスムーズです。
録画型
録画型は、あらかじめ設定された質問に対して、応募者が自分のタイミングで動画で回答するスタイルです。
回答動画は自動で文字起こしされ、内容・話し方・表情などがまとめてスコアリングされます。大量の応募者を一括で評価できるため、新卒採用や全国の拠点でアルバイトを採用するチェーン店舗などで多く使われています。
対話型
一方の対話型は、AIがリアルタイムで質問を投げかけ、応募者の回答内容に応じて次の質問を変えていく形式です。
最近は、3Dアバターやデジタルヒューマンが面接官として画面上に登場し、会話のキャッチボールをしながら深掘りを行うタイプのサービスも増えています。
営業職やカスタマーサポート、マネージャー候補など、コミュニケーション力や状況対応力を重視するポジションと相性が良いタイプです。
また、録画型と対話型の中間として、「人事や現場の面接官がオンラインで面接を実施し、その様子をAIがリアルタイムに解析・要約する」タイプのサービスも登場しています。
AI面接の流れ
AI面接の流れは、応募者がオンラインで面接を受けるところから始まり、AIがその結果を分析し、評価レポートを作成するまでの一連のプロセスで構成されています。この流れを把握することで、企業側は導入後の具体的な運用イメージをつかみやすくなります。
ここでは、AI面接の一般的な手順を解説しますので、導入検討の際の参考にしてください。
①オンライン面接
AI面接では、応募者が自宅などからパソコンやスマートフォンを使って、指定されたURLやアプリにアクセスして面接を受けます。
質問に対して録画で答えるスタイルや、AIとその場でやり取りするタイプがあります。いずれの場合も、カメラとマイクが必要になるため、事前にきちんと準備をしてもらうことが大切です。
例えば、できるだけ静かな場所を選んだり、背景が散らかっていないか確認したりと、落ち着いた環境を整えておくと安心です。企業側からも「服装はこうしてください」「カメラの目線はこのあたりで」といったちょっとしたアドバイスを伝えておくと、応募者もリラックスして臨めます。
こうした準備をしておくことで、誰にとっても受けやすい面接になり、フェアな選考がしやすくなります。
②AIが面接結果を評価・分析
AIは、応募者の発言内容だけでなく、声のトーンや抑揚、表情の動きなど、話している時の細かな特徴まで分析します。例えば、落ち着いた話し方をしているか、質問に対して的確に答えているか、間の取り方が自然かなど、さまざまな角度から応募者の特徴を把握します。
中には、目線の動きや言葉の選び方から、協調性やリーダーシップといった性格面を見ようとするものもあります。これらのデータは、過去に採用された人材の傾向などと比較されることもあり、企業ごとの「活躍する人材像」に近いかどうかを判断する材料として活用されます。
人が見落としがちな部分にも目を向けられるのがAIの強みです。
③AIが評価レポートを作成
AIによる面接が終わると、その内容をもとに自動でレポートが作成されます。レポートには、話し方や受け答えの内容から読み取った「強み」や「課題」、性格の傾向、向いていそうな仕事のタイプなどがまとめられています。
評価は「協調性」や「論理的な考え方」「柔軟な対応ができるか」といった項目ごとに整理されていて、数字やグラフで見やすく表示されることが多いです。
人事担当者はこのレポートを見ることで、応募者の特徴を短時間で把握できます。印象だけに頼らず、データを参考に判断できるのも大きなメリットです。複数の応募者を比べるときにも、評価レポートは役立ちます。
④AIの評価を参考に選考
AIが作成した評価レポートは、応募者を選考する際の参考資料の一つです。最終的な選考は、AIの結果だけでなく、対面での印象や現場の人の意見も考慮するのが一般的です。
最近では、AIを活用して一次選考を行い、通過した応募者だけが人事担当者や配属部署との面接を受ける企業も増えてきました。こうした仕組みの導入により、面接官の負担を減らし、より公正で客観的な選考を進められます。
応募者側にも、結果が早くわかる点でメリットがあり、スムーズな採用プロセスを実現できます。AIの分析と人の判断をうまく組み合わせることで、効率的かつ納得できる選考ができるでしょう。
AI面接を導入するメリット
AI面接のメリットは、「時間と場所の制約から解放される」ことだけではありません。採用担当者の工数削減から候補者体験の向上まで、うまく活用すれば採用プロセス全体の質を底上げできます。
面接にかかる人的コストの削減
まず大きいのが、面接にかかる人的コストの削減です。
日程調整や会議室の確保、面接官のアサインといった調整業務を大幅に減らせるため、採用担当者は「母集団形成」「内定者フォロー」といった、人にしかできない業務に時間を割けるようになります。
地方や海外在住の候補者も移動なしで受験できるため、これまで出会えなかった人材にアプローチできる点も魅力です。
評価基準の一貫性を保ちやすい
次に、評価基準の一貫性を保ちやすいこともAI面接の強みです。
AI面接ツールは、あらかじめ設定した評価項目・アルゴリズムに基づいて機械的にスコアリングを行うため、「面接官によって評価がバラつく」「その日の体調や気分で印象が変わる」といった問題を軽減できます。
もちろんアルゴリズムの設計次第では偏りが入り込む可能性もありますが、同じ基準で大量の候補者を比較できるという意味では、公平性向上に寄与しやすい仕組みです。
面接の映像や評価データが蓄積され分析できる
さらに、面接の映像や評価データが蓄積されることで、「どのような面接を行うと、どのような人材が採用でき、その後どの程度活躍しているか」といった分析も可能になります。
こうしたデータを踏まえて、面接官トレーニングや採用要件の見直しにつなげられる点も、従来の面接にはなかった価値と言えると思います。
おすすめAI面接サービス
AI面接サービスは、採用活動を効率的に進め、公平な評価を実現するためのサポートツールです。サービスによって得意分野や特徴があり、企業のニーズに合わせて最適なものを選ぶことができます。
ここでは、さまざまなAI面接サービスを紹介しています。自社にぴったりのツールを見つける参考にしてください。
SHaiN

SHaiNは、スマートフォンやPCから24時間いつでも受験できる、日本発のAI面接サービスです。
応募者はAIから投げかけられる質問に答える形で、自身の経験や価値観を深掘りしていきます。録画された回答はAIが解析し、「行動特性」や「強み・弱み」といった観点でレポート化されます。
プレミアムプランでは、人事・キャリアの専門家がAIの分析結果をレビューし、コメントを付加するダブルチェック体制も用意されています。※1
AIのスピードと人の目による妥当性チェックを組み合わせることで、精度と納得感の両立を図りたい企業に適したサービスです。
AI面接官

AI面接官は、録画型のAI面接ツールで、事前に設定された質問に応募者が回答する形式を採用しています。応募者の回答内容や表情、声のトーンなどをAIが分析し、客観的な評価を提供。
このツールは、面接官のスキルや主観に左右されることなく、統一された基準で候補者を評価できる点が特徴です。操作がシンプルで導入しやすく、企業規模を問わず利用可能です。採用活動の効率化を目指す企業に適したサービスです。※2
People XRecruit

People XRecruitは、デジタルヒューマンのアバターが面接官となり、応募者と対話をしながら質問を進めていく対話型のAI面接サービスです。このシステムでは、求人広告にQRコードを掲載し、応募者が店舗で簡単に面接を受けられます。
面接を受けるタイミングや場所に縛られないため、応募者にとっても便利で効率的です。特にコンビニチェーンなどでは、短期間で採用活動が完了するため、スピーディーな選考を実現します。このサービスを使うことで、採用活動の時短に繋がります。※3
面接サポートさくらさん

面接サポートさくらさんは、生成AI(ChatGPT)を活用した対話型のAI面接サービスです。
ブラウザからアクセスするだけで、24時間365日いつでも面接を実施できるため、海外在住の候補者や現職で日中に時間を取りにくい応募者にも対応しやすい仕組みになっています。
面接中の回答内容だけでなく、表情や視線の動きといった非言語情報も解析し、「緊張しているが誠実に回答している」「自信はあるが回答が具体性に欠ける」といったニュアンスもレポートとして可視化できる点が特徴です。※4
人事が気づきにくいサインも補足しながら、候補者の全体像を立体的に把握したい企業に向いています。
AI RECOMEN

AI RECOMENは、企業の採用担当者と就活生両方をサポートする実用的な面接ツールです。企業向け「for 採用」では、時間や場所を問わない面接実施で人事部門の負担を軽減。海外人材や多忙な経験者層との接点も逃しません。
学生向け「for 面接練習」では具体的なフィードバックが得られ、面接スキル向上に直結します。データに基づく一貫性のある評価と業務効率化により、人と人との出会いを大切にしながらも、採用活動の質を高める新たな選択肢として注目されています。※5
面談支援AIサービス

日立ソリューションズの「面談支援AIサービス」は、熟練面談者の評価ノウハウをAIモデルとして学習させ、面談の様子を定量的に見える化するソリューションです。
オンラインでのセルフ面談や録画面談の映像から、表情・視線・音声などを分析し、「受け身になりがち」「質問への回答が端的でわかりやすい」といった傾向をレポートとして提示します。
従来は属人化しがちだった「ベテラン面談者の勘どころ」を、客観的な指標として共有できるため、評価のばらつきを抑えつつ面談担当者のスキル向上にもつなげやすいのが特徴です。※6
採用面接だけでなく、人事評価や1on1面談の振り返りなど、幅広い人材マネジメントの場面で活用が検討されています。
harutaka IA

「面接官はメモに追われ、応募者は緊張で実力発揮できない。」そんな採用現場の課題を解決するのがharutaka IAです。
オンライン面接の一部始終を自動記録し、話し合いの流れを議事録として残すため、面接官は応募者との対話に集中できます。「誰が多く話したか」「質問と回答のバランスは適切か」といった会話の質も可視化。面接のプロでも気づきにくい話し方の癖まで指摘するレポート機能は、ベテラン・新人を問わず面接スキル向上につながります。
採用の質を高める新たな視点を提供するツールとして、今注目されています。※7
AI面接サービスの選び方
AI面接サービスは種類が多く、料金体系や得意領域もさまざまです。ご自身に合うツールを選ぶ際は、次のような観点で比較するとミスマッチを減らせます。
どのフェーズで使うのか
1つ目は、「どのフェーズで使うのか」です。
新卒の一次選考で大量の応募者をふるいにかけたいのか、中途採用の最終面接を補助したいのか、アルバイトやパートの採用スピードを上げたいのかによって、適した機能は変わります。
録画型か対話型か、人によるオンライン面接の解析に特化したタイプかを整理しましょう。
評価レポートの粒度と活用しやすさ
2つ目は、「評価レポートの粒度と活用しやすさ」です。
スコアやコメントがシンプルで現場に共有しやすいものもあれば、詳細な指標が多数出る代わりに、読み解きに時間がかかるものもあります。
採用担当・現場のどちらが主にレポートを見るのかを決めたうえで、使いやすさを検討するとよいでしょう。
候補者体験とサポート体制
3つ目は、「候補者体験とサポート体制」です。
スマートフォンでの受験しやすさや、24時間365日いつでも受けられるか、UIがわかりやすいかといった点は、候補者側のストレスや離脱率に直結します。
困ったときに問い合わせできる窓口や、導入時のオンボーディング支援があるかも確認しておきたいポイントです。
最後に、既存の採用管理システム(ATS)との連携や、個人情報保護・セキュリティ要件への対応状況も重要です。
将来的な導入範囲の拡大も見据えて、「今の課題を解決しつつ、数年後も使い続けられるか」という観点で比較検討してみてください。
AI面接を導入する際の注意点
AI面接を導入する際には、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
まず最初に取り組みたいのが「評価の基準をはっきりさせること」です。どんな力を見たいのかが曖昧なままだと、せっかくのAIもうまく活用できません。
応募者との信頼関係を築くことも忘れてはいけません。
「この面接データって、どう扱われるんだろう?」と不安に思う人もいるはずなので、あらかじめ目的や保管の方法をしっかり伝えておくと安心してもらえます。
また、通信トラブルなど万が一の事態に備えて、録画機能があって安定して使えるシステムを選んでおくのも大事です。
最後に意識しておきたいのが「AIと人との役割分担」です。AIだけに頼るのではなく、最終的な判断は人の目できちんと確認することが、公平で柔軟な選考につながるでしょう。
AI面接を活用してみよう!
AI面接は、公平でスムーズな選考を実現する頼もしいサポート役です。
録画式や対話型など、企業ごとの事情に合わせた選び方ができるのも魅力でしょう。
面接の実施から評価、レポートの作成まで一連の流れをAIがカバーしてくれるため、人事担当の負担を軽減。場所や時間にとらわれずに対応できる柔軟さもあり、今まで出会えなかったような人材とつながるきっかけになるかもしれません。
応募者にとっても、好きなタイミングで受けられる面接や一定の基準に基づいた評価は、納得感のある選考体験につながるはずです。
しかし、導入にはしっかりとした準備が欠かせません。
評価の軸をはっきりさせることや個人情報の扱いにきちんと配慮することは、大事なポイントです。
最終的には、AIの分析結果だけに頼るのではなく、人の目と感覚で確認することが、より良い採用につながります。
これからの採用活動を一歩先に進める手段として、AI面接はますます注目を集めるでしょう。
最後に
いかがだったでしょうか?
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【監修者】田村 洋樹
株式会社WEELの代表取締役として、AI導入支援や生成AIを活用した業務改革を中心に、アドバイザリー・プロジェクトマネジメント・講演活動など多面的な立場で企業を支援している。
これまでに累計25社以上のAIアドバイザリーを担当し、企業向けセミナーや大学講義を通じて、のべ10,000人を超える受講者に対して実践的な知見を提供。上場企業や国立大学などでの登壇実績も多く、日本HP主催「HP Future Ready AI Conference 2024」や、インテル主催「Intel Connection Japan 2024」など、業界を代表するカンファレンスにも登壇している。

