結論: NTTアドバンステクノロジ株式会社は2026年8月19日、純国産RPAツール「WinActor」の最新版Ver.7.7.0を発表しました。2026年9月1日から販売を開始し、目玉は生成AIを使って操作方法やエラー対応をチャットで質問できる「AIヘルプ機能」です。あわせてVBScriptからPythonへの移行支援、ライブラリ管理の強化、Outlook連携の拡張も加わりましたが、AI関連機能の一部は新設された「AI連携ライセンス」限定である点に注意が必要です。
この記事の要点:
- 要点1: 全ライセンス対象の「AIヘルプ機能」と、AI連携ライセンス限定の「VBScript→Python移行支援」は対象範囲が異なる
- 要点2: ノードロックライセンス(フル機能版)の価格は1,098,680円(税込)でVer.7.6.0から実質据え置き。一方でAI連携ライセンスは2,197,800円(税込)という新しい価格帯
- 要点3: 本記事公開時点で検索結果は公式サイト・販売代理店のページが大半を占め、独立系メディアによる解説はほとんど見当たらない
対象読者: WinActorを導入済みでアップグレードを検討する情シス・業務改善担当者、これからRPAとAI活用の使い分けを整理したい中小企業の意思決定者
読了後にできること: 自社が「AI連携ライセンス」を検討すべきか、標準ライセンスのままでよいかを、3つの質問に沿って判断できる
「うちのRPAもAIヘルプみたいな機能、そのうち付くんですか?」——生成AI研修や導入コンサルの現場で、既にWinActorを使っている企業の情シス担当者からこうした質問を受けることが増えていました。RPAの操作方法やエラー対応は現場任せになりがちで、情シスへの問い合わせが集中しやすい業務のひとつです。
2026年8月19日、その答えの一つが公式に発表されました。純国産RPA「WinActor」を開発・販売するNTTアドバンステクノロジ株式会社が、最新版Ver.7.7.0を発表し、2026年9月1日から販売を始めると案内したのです。目玉は生成AIを使ったチャット形式の「AIヘルプ機能」ですが、実際に価格表を確認すると、AI関連機能の一部だけを対象にした新しい「AI連携ライセンス」という区分が登場しており、既存ユーザーが単純に「アップデートすればAI機能が使える」わけではないことがわかります。
この記事では、NTTアドバンステクノロジの公式発表をもとに、Ver.7.7.0で何が変わったのか、価格・ライセンス体系はどう整理されたのか、そして中小企業がWinActorとAIエージェントをどう使い分けるべきかを、100社以上のAI研修・導入支援の実務視点で整理します。
何が起きたのか — WinActor Ver.7.7.0発表の全体像
WinActorは、NTTアドバンステクノロジ株式会社が開発する国産RPAツールです。Windows上の操作を記録・自動化する「シナリオ」機能を中心に、金融・製造業・自治体など幅広い業種で導入が進んできました。おおむね年1回のペースでメジャーアップデートが行われており、直近のバージョン履歴は次の通りです。
| バージョン | 発表時期 | 主な内容 |
|---|---|---|
| Ver.7.5.0 | 2024年7月 | 生成AI・Box連携の強化、シナリオ作成アシスト機能 |
| Ver.7.6.0 | 2025年7月 | 画像認識AI連携、対話型シナリオ作成、品質チェックツール |
| Ver.7.7.0 | 2026年8月19日発表・9月1日販売開始 | AIヘルプ機能、VBScript→Python移行支援、ライブラリ管理強化、Outlook連携拡張 |
公式発表によると、Ver.7.7.0は「現場部門主導のRPA活用が進む中、安定運用を実現する」ことをテーマに開発されたとのことです。既存のシナリオ資産を活かしながら、技術の進化に対応することが課題だったと説明されています。なお、WinActor公式サイトでは自社を「国内シェアNo.1RPAツール」と紹介しており、金融機関や自治体を含む幅広い業種での導入実績を強みとしています(この数値は運営元の自社発表に基づくものです)。RPAを含めた中小企業のAI活用の全体戦略については、AI導入戦略ガイドで6フェーズに分けて整理しています。

新機能1: AIヘルプ機能はどこまで解決してくれるのか
最大の目玉が「AIヘルプ機能」です。公式発表の文言では「シナリオ作成などの操作方法やエラー対応の疑問をその場で解決する」機能とされ、チャット形式で質問を入力すると生成AIが回答します。画像やログファイルの添付にも対応しているため、エラーメッセージのスクリーンショットを貼り付けて「これはどう対処すればいいか」と聞くような使い方が想定されます。
ここで重要なのは、AIヘルプ機能が「全ライセンス対象」と明記されている点です。つまり、ノードロックライセンスでもフローティングライセンスでも、Ver.7.7.0に更新すれば追加費用なしで使える機能ということになります。RPAの操作方法に関する問い合わせが情シス部門に集中しがちな企業にとっては、負荷軽減が期待できる機能です。
ただし、公式発表には生成AIの回答精度や対応言語、社外へのデータ送信の有無といった詳細までは記載されていません。社内で機密性の高いエラーログを扱う場合は、販売代理店に運用ルールを確認してから使い始めるのが安全です。

新機能2: VBScriptからPythonへの移行支援は「AI連携ライセンス」限定
2つ目の新機能が、既存のVBScript(VBS)ライブラリをPythonへ移行する際の支援機能です。公式発表では「担当者が作成したVBScriptライブラリをPythonへ移行する際の支援を提供」「段階的な移行が可能」と説明されています。
WinActorは長年VBScriptによる独自ライブラリ拡張が使われてきましたが、Pythonの方が汎用性が高く社内に書ける人材も多いという事情から、移行ニーズが徐々に高まっていました。この機能はその移行コストを下げる狙いがあると見られます。
注意したいのは、この機能が「AI連携ライセンス対象」と限定されている点です。AIヘルプ機能とは異なり、標準のノードロックライセンス・フローティングライセンスのままでは使えず、後述する新しい価格帯のライセンスへの切り替えが必要になります。自社に独自VBScriptライブラリの資産が多い企業ほど、この機能の価値を検討する余地があります。
新機能3: ライブラリ管理とOutlook連携の強化
残り2つの新機能は、AIというより運用効率化の色合いが強い機能です。
1つ目は、独自ライブラリの登録・一括最新化機能です。公式発表では「ライブラリ更新時の作業負担や更新漏れを削減」できるとされており、AIヘルプ機能と同じく全ライセンス対象です。複数の部署でシナリオを運用している企業では、ライブラリのバージョン違いによる不具合が起きやすく、この機能は地味ながら実務的な価値がありそうです。
2つ目は、Microsoft Graphに対応したOutlook連携の拡張です。Microsoft 365環境でのOutlookメール・予定の自動化が強化されるとされています。すでにOutlook連携でメール仕分けや予定登録を自動化している企業にとっては、対応範囲の広がりが実務に直結する変更です。RPAに限らない業務効率化ツール全体の選び方は、業務効率化AI おすすめ完全ガイドでも整理しています。
価格・ライセンス体系はどう変わったか
Ver.7.7.0では、価格表が「ノードロックライセンス」「フローティングライセンス」「AI連携ライセンス」の3区分で示されています。公式発表に記載された税込価格は次の通りです。
| ライセンス区分 | フル機能版 | 実行版 |
|---|---|---|
| ノードロックライセンス | 1,098,680円 | 300,080円 |
| AI連携ライセンス | 2,197,800円 | 600,600円 |
| フローティングライセンス | オープン価格 | オープン価格 |

ノードロックライセンス(フル機能版)の1,098,680円という価格は、Ver.7.6.0発表時の価格と同額です。つまり標準ライセンスの価格自体は据え置かれています。一方で「AI連携ライセンス」という区分は、2025年7月のVer.7.6.0発表文書には登場しておらず、Ver.7.7.0で新たに独立した価格帯として明記されました。ノードロックのフル機能版のちょうど2倍の価格設定です。
先述の通り、AIヘルプ機能は全ライセンス対象である一方、VBScript→Python移行支援はAI連携ライセンス限定です。つまり「AI機能を使いたいから上位ライセンスが必須」ではなく、「VBScript資産の移行を計画しているかどうか」で選ぶライセンスが変わる、という整理になります。既存ユーザーがVer.7.7.0へアップグレードする際の具体的な条件(無償更新か再契約か)は公式発表に記載がないため、販売代理店への確認をおすすめします。
WinActorとAIエージェントは何が違うのか
WinActorにAIヘルプ機能が搭載されたことで、「もうAIエージェントは不要では」と考える企業もあるかもしれません。しかし実際には、両者は担っている役割が異なります。

WinActorのようなRPAは、画面操作やクリック・入力といった「手順が決まっている定型業務」を、人間の代わりに正確に繰り返すことが得意です。今回のAIヘルプ機能も、あくまで「操作方法やエラー対応の相談窓口」であり、業務の判断そのものをAIが代行するわけではありません。
一方でAIエージェントは、状況に応じて判断し、複数のシステムやツールをまたいで非定型の業務を進めることに向いています。メール文面の判断、例外対応、複数部署にまたがる調整のような業務はRPAのシナリオだけでは対応しづらく、AIエージェントの領域になります。AIエージェントそのものの仕組みはAIエージェントとはで解説しており、RPAとの使い分けはAIエージェント vs RPA 使い分け判断でより詳しく整理しています。
実務的には「RPAを捨ててAIエージェントに一本化する」のではなく、既存のWinActorシナリオ資産をそのまま活かしつつ、判断が必要な部分だけAIエージェントに任せる、という併用が現実的な選択肢になるケースが多いというのが、AI導入支援の現場で見てきた実感です。
楽観論と慎重論 — 「安定運用」路線をどう評価するか
Ver.7.7.0の発表内容を振り返ると、目立つ新機能を追加するというより「安定運用」を掲げて既存資産を活かす方向の改善が中心になっています。この方向性について、評価が分かれそうな点を整理します。
楽観的に見れば、AIヘルプ機能が全ライセンス対象で追加費用なしという点は、既存ユーザーにとって素直にプラスです。現場からの問い合わせ対応に追われる情シス担当者の負荷軽減や、VBScript資産の計画的なPython移行など、地に足のついた課題解決を狙っている印象を受けます。
慎重に見れば、AI関連機能のうち踏み込んだ機能(VBScript移行支援)は新しいライセンス区分の対象であり、実質的な値上げに近い側面もあります。また公式発表だけでは、AIヘルプ機能の回答精度や既存ユーザーのアップグレード条件など、実際の運用で気になる点が見えてこない部分もあります。9月1日の販売開始後、実際に触った企業の評判を確認してから判断するのが安全です。
中小企業が取るべき3つのアクション

- ライセンス種別と保有シナリオ資産を棚卸しする: 自社が現在どのライセンス(ノードロック/フローティング)を契約しているか、VBScriptで書かれた独自ライブラリがどれくらいあるかを確認します。
- AI連携ライセンスの必要性を判断する: VBScript資産のPython移行を計画している、またはOutlook連携の強化ニーズが明確な場合はAI連携ライセンスの見積もりを取り、そうでなければ当面は標準ライセンスのままAIヘルプ機能の恩恵だけを受ける選択も検討します。
- RPAとAIエージェントの役割分担を整理する: 「WinActorで自動化している業務」と「判断が必要で自動化できていない業務」を棚卸しし、後者についてAIエージェント活用の余地がないか社内で議論を始めます。中小企業のAI導入全体の進め方は中小企業のAI導入7ステップでも解説しています。
よくある質問
Q. WinActorとは何ですか?
A. NTTアドバンステクノロジ株式会社が開発・販売する国産RPA(Robotic Process Automation)ツールです。Windows上のマウス操作やキーボード入力を「シナリオ」として記録・自動化でき、金融・製造業・自治体など幅広い業種で導入されています。
Q. WinActor Ver.7.7.0はいつから使えますか?
A. NTTアドバンステクノロジの公式発表によると、2026年8月19日に発表され、2026年9月1日から販売が開始されます。
Q. AIヘルプ機能はどのライセンスで使えますか?
A. 公式発表では「全ライセンス対象」と明記されており、ノードロックライセンス・フローティングライセンスのいずれでも、Ver.7.7.0に更新すれば追加費用なしで利用できます。一方、VBScriptからPythonへの移行支援機能はAI連携ライセンス限定です。
Q. WinActorの価格はいくらですか?
A. Ver.7.7.0のノードロックライセンス(税込)は、フル機能版が1,098,680円、実行版が300,080円です。AI連携ライセンスはフル機能版2,197,800円、実行版600,600円で、フローティングライセンスはオープン価格(個別見積もり)です。
Q. WinActorとAIエージェントはどちらを導入すべきですか?
A. 手順が決まっている定型業務の自動化にはWinActorのようなRPAが向いており、判断や例外対応が必要な非定型業務にはAIエージェントが向いています。多くの企業では、既存のRPA資産を活かしながら判断が必要な部分だけAIエージェントを併用する形が現実的です。詳しくはAI vs RPA 徹底比較で解説しています。
Q. WinActorに関連する資格はありますか?
A. WinActorの技能を認定する「RPA技術者検定」があり、基礎知識を問う「アソシエイト」と、シナリオ作成の実技を含む「エキスパート」の2段階が用意されています(WinActor公式サイトの案内による)。なお、今回のVer.7.7.0の新機能を対象にした試験内容の更新については、本記事公開時点で公式な追加情報は確認できていません。
まとめ:今日から始める3つのアクション
- 今日やること: 自社のWinActor契約ライセンス種別(ノードロック/フローティング)と、Ver.7.6.0以前かどうかを確認する
- 今週中: 保有しているVBScript独自ライブラリの数を棚卸しし、AI連携ライセンスへの切り替えが必要かを判断する
- 今月中: RPAで自動化できていない「判断が必要な業務」を洗い出し、AIエージェント活用の余地を社内で検討する
次回予告: 次の記事では、中小企業がRPAとAIエージェントを併用する際の具体的な業務設計パターンについて解説します。
参考・出典
- AIヘルプ搭載で操作やエラーの疑問をその場で解決 RPAツールWinActor Ver.7.7.0を販売開始 — NTTアドバンステクノロジ株式会社 公式発表(参照日: 2026-08-20)
- RPAツールWinActor新バージョンVer.7.6.0 生成AI連携機能の強化と運用支援機能の拡充でさらなる進化 — NTTアドバンステクノロジ株式会社 公式発表(参照日: 2026-08-20)
- WinActor公式サイト — NTTデータグループ(参照日: 2026-08-20)
著者: 佐藤傑(さとう・すぐる)
株式会社Uravation代表取締役。X(@SuguruKun_ai)フォロワー約10万人。100社以上の企業向けAI研修・導入支援。著書『AIエージェント仕事術』(SBクリエイティブ)。SoftBank IT連載7回執筆(NewsPicks最大1,125ピックス)。
ご質問・ご相談は お問い合わせフォーム からお気軽にどうぞ。

