【Agents for financial services】金融業務を自動化するClaude AIエージェント10種を徹底解説

押さえておきたいポイント
  • Agents for financial servicesは、金融業界向けの10種類のAIエージェントテンプレート群
  • ピッチブック作成やKYCスクリーニング、月次決算など金融業務の主要タスクを自動化
  • Claude Opus 4.7は金融タスク特化のVals AI Finance Agentベンチマークで業界首位(64.37%)を記録

2026年5月6日、Anthropicは金融業界に特化したAIエージェントパッケージ「Agents for financial services」を公開しました!

ピッチブックの作成、KYC審査、月次決算処理といった金融業務において最も時間のかかる作業を、Claudeのエージェントが実際にこなしてくれるという、かなりインパクトのある発表です。

とはいえ、「具体的にどんなエージェントがあるの?」「自社の業務にどう組み込めるの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、Agents for financial servicesの概要から仕組み、料金体系、具体的な使い方までを徹底的に解説していきます。ぜひ最後までご覧ください!

\生成AIを活用して業務プロセスを自動化/

  1. Agents for financial servicesとは?
  2. Agents for financial servicesの仕組み
  3. Agents for financial servicesの特徴
  4. FISとの金融犯罪対策AIエージェントおよびSpaceX提携による利用制限緩和
    1. FIS × Anthropic:金融犯罪対策AIエージェントの共同開発
    2. SpaceX提携:Claude Codeの利用制限が2倍に緩和
  5. Agents for financial servicesの安全性・制約
  6. Agents for financial servicesの料金
  7. Agents for financial servicesのライセンス
  8. Agents for financial servicesの使い方
    1. Claude Code CLIからインストール
    2. マーケットプレイスを追加
    3. コアプラグインをインストール
    4. エージェントやアドオンを追加
    5. スラッシュコマンドでタスクを実行
    6. Claude CoworkまたはClaude Codeのプラグインとして使う方法
    7. financial-servicesマーケットプレイスにアクセス
    8. プラグインを有効化
    9. データコネクタを接続
    10. エージェントにタスクを指示
    11. Claude Managed Agentsとして使う方法
    12. Claude APIキーを取得
    13. ベータヘッダーを設定
    14. リポジトリをクローンしてデプロイ
    15. 環境(Environment)を構成
    16. セッションを開始してタスクを実行
  9. 【業界別】Agents for financial servicesの活用シーン
    1. 投資銀行
    2. 銀行・保険
    3. 経理・財務部門
  10. 【課題別】Agents for financial servicesが解決できること
    1. ピッチブック作成の効率化
    2. 月次決算プロセスの属人化とミス削減
    3. KYC/コンプライアンス審査のボトルネック解消
  11. Agents for financial servicesを使ってみた
    1. comps-analysisスキルで類似企業分析を生成してみた
  12. よくある質問
    1. Agents for financial servicesは無料で使えますか?
    2. Claude Opus 4.7以外のモデルでもエージェントは動作しますか?
    3. 日本の金融機関でも導入できますか?
  13. Agents for financial servicesで金融業務のAI活用を加速しよう
  14. 最後に

Agents for financial servicesとは?

Agents for financial servicesとは?
参考:https://www.anthropic.com/news/finance-agents

Agents for financial servicesは、Anthropicが金融業界で最も時間を要する業務を自動化するために開発した、すぐに実行可能な10種類のエージェントテンプレート群です。

各テンプレートはClaude CoworkおよびClaude Codeのプラグインとして提供されるほか、Claude Managed Agentsのクックブックとしても利用できます。これによって、金融機関のチームは数か月ではなく数日でClaudeを実際の金融業務に投入できるようになります。

エージェントの対象領域は大きく2つに分かれています。

1つ目は「リサーチ&クライアントカバレッジ」領域で、ピッチビルダーミーティングプリペアラー決算レビュアーモデルビルダーマーケットリサーチャーの5種類が含まれます。2つ目は「ファイナンス&オペレーション」領域で、バリュエーションレビュアー総勘定元帳照合月次決算クローザー財務諸表監査KYCスクリーナーの5種類です。

Agents for financial sevicesの公開に加え、FactSet、S&P Capital IQ、MSCI、PitchBook、Morningstarなど主要なデータプロバイダーとのコネクタに加え、Dun & BradstreetGuidepointIBISWorldVeriskなど新たなパートナーのコネクタと、Moody’sのMCPアプリも公開されています。

Agents for financial servicesの仕組み

Agents for financial servicesの仕組み

Agents for financial servicesのアーキテクチャは、3つの構成要素から成り立っています。

1つ目はスキル(Skills)で、タスクに必要な指示文やドメイン知識をパッケージ化したものです。2つ目はコネクタ(Connectors)で、タスクが依存するデータへのガバナンス付きアクセスを提供します。3つ目はサブエージェント(Subagents)で、メインエージェントから呼び出される追加のClaudeモデルであり、類似企業の選定や評価手法のチェックといった特定のサブタスクを担当します。

利用形態は大きく2つに分かれます。

Claude CoworkやClaude Codeのプラグインとして使う場合は、アナリストのデスクトップ上にあるソフトウェアと連動し、リアルタイムで作業を支援します。例えば、Pitchエージェントにターゲットリストを渡せば、Excelの類似企業比較モデル、PowerPointのピッチブック、Outlookのカバーレターをまとめて生成できます。

一方、Claude Managed Agentsとして使う場合は、Claude Platform上で自律的に稼働し、案件ブック全体の処理や夜間スケジュールでの実行に対応します。数時間にわたるディールクロージングを処理する長時間セッション、ツールごとの権限管理、認証情報のVault管理、すべてのツール呼び出しと意思決定を記録する完全な監査ログが標準で提供されます。

いずれのシナリオでも、ユーザーは常にループの中にいて、クライアントに送付・提出・実行する前にClaudeの作業をレビュー・修正・承認する運用が前提となっています。

Agents for financial servicesの特徴

Agents for financial servicesの特徴
参考:https://www.anthropic.com/news/finance-agents

Agents for financial servicesの最大の特徴は、推奨モデルであるClaude Opus 4.7が金融タスクにおいて業界最高水準の性能を持つ点にあります。

Vals AIが提供する「Finance Agent Benchmark」は、SEC提出書類を対象としたリサーチタスクを537問収録したベンチマークで、銀行やヘッジファンドの専門家と共同で設計されたものです。このベンチマークにおいて、Claude Opus 4.7は64.37%のスコアで業界首位を獲得しています。

もう1つの大きな特長は、Microsoft 365との深い統合です。Excel上でClaudeが財務モデルを構築し、数式の監査やセンシティビティ分析を実行できます。PowerPointでは数値が更新されると自動的にデッキも更新され、Wordではクレジットメモを企業のテンプレートに沿って編集できます。Outlookでは受信トレイのトリアージ、ミーティングの手配、ユーザーの文体に合わせた返信の下書きが可能です。

また、Claude CoworkのDispatch機能を使えば、テキストや音声で外出先からClaudeにタスクを割り当てることも可能で、デスクを離れている間もローカルファイルの作業を進め、戻ってきたころには作業が完了しているという使い方ができます。

FISとの金融犯罪対策AIエージェントおよびSpaceX提携による利用制限緩和

Agents for financial services発表の前後で、金融AIの活用をさらに加速させる2つの大きなニュースも公開されています。こちらでは、2つの関連トピックも押さえておきましょう。

FIS × Anthropic:金融犯罪対策AIエージェントの共同開発

FIS × Anthropic:金融犯罪対策AIエージェントの共同開発
参考:https://www.fisglobal.com/about-us/media-room/press-release/2026/fis-brings-agentic-ai-to-banking-with-anthropic-starting-with-financial-crimes

Agents for financial servicesの10種類のテンプレートとは別に、Anthropicは決済・金融テクノロジー大手のFISと提携し、金融犯罪対策に特化したAIエージェントの共同開発を進めています。

このエージェントは、銀行の中核システム全体から自動的に証拠を収集し、既知の犯罪類型に照らして取引活動を評価することで、マネーロンダリング対策(AML)のアラート調査時間を数時間から数分に短縮することを目指しています。AnthropicのApplied AIチームとフォワード・デプロイド・エンジニアがFISと協力してエージェントを共同設計しており、推論にはClaudeモデルを使用。システムはFIS管理のインフラ内で動作し、顧客データはFISサーバー上に保持される設計です。

2026年5月現在、BMO(Bank of Montreal)とAmalgamated Bankが開発に参画しており、2026年下半期に一般提供が予定されています。FISは今後、クレジット意思決定、預金維持、顧客オンボーディング、不正防止といった領域にもエージェントを拡大する計画を示しています。世界経済の約12%を占める金融機関の取引を処理するFISとの協業は、Agents for financial servicesのエコシステムにとっても大きな追い風になりそうです。

SpaceX提携:Claude Codeの利用制限が2倍に緩和

2026年5月7日、AnthropicはSpaceXとのパートナーシップも発表しました。

xAIが運用していたAIスーパーコンピュータ「Colossus 1」の全コンピューティング容量をAnthropicが利用する契約を締結し、5月中に300MW超・22万台以上のNVIDIA GPUが追加されます。

この容量増強により、以下の利用制限緩和がすでに適用されています。

スクロールできます
対象緩和内容
Claude Code(Pro/Max/Team/Enterprise)5時間あたりのレートリミットを2倍に引き上げ
Claude Code(Pro/Max)ピーク時間帯の利用制限を撤廃
Claude Opus API各ティアのレートリミットを大幅に引き上げ
利用制限緩和

今回のレートリミット2倍化は、実務で複数の分析を連続実行する際のボトルネック解消にも直結するため、金融業界だけでなく、全ユーザーにとってインパクトの大きいアップデートだと言えるでしょう。

Agents for financial servicesの安全性・制約

金融業務でAIを活用する際に最も重要なのは、ガバナンスと監査可能性です。

Agents for financial servicesでは、Claude Managed Agentsを利用する場合、すべてのツール呼び出しとエージェントの意思決定がClaude Consoleの監査ログに記録されます。コンプライアンスチームやエンジニアリングチームが、エージェントの行動を事後的に検証できる仕組みです。

また、各エージェントテンプレートはツールごとの権限管理(Per-tool permissions)に対応しており、認証情報はマネージドクレデンシャルVaultで一元管理されます。企業は自社のモデリング規約、リスクポリシー、承認フローに合わせてテンプレートをカスタマイズできるため、既存のガバナンス体制との整合性を保ちながら導入を進められます。

Claude Managed Agentsは2026年5月時点でパブリックベータ版である点には注意が必要です。

Agents for financial servicesの料金

Agents for financial servicesは、Claude CoworkやClaude Codeのプラグインとして有料プランのすべてで利用可能です。また、Claude Managed Agentsとしての利用はClaude Platformを通じて行います。

エージェント自体に独立した課金体系はなく、利用するClaudeモデルのAPI料金またはサブスクリプションプランに準じる形となります。

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モデル入力トークン(MTok)出力トークン(MTok)キャッシュヒット(MTok)
Claude Opus 4.7(推奨)$5.00$25.00$0.50
Claude Opus 4.6$5.00$25.00$0.50
Claude Sonnet 4.6$3.00$15.00$0.30
Claude Haiku 4.5$1.00$5.00$0.10
Agents for financial servicesの料金
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プラン料金主な特徴
Free無料基本機能のみ。プラグイン利用不可
Pro月額$20Claude Code・Coworkのプラグイン利用可。Freeの5倍の利用量
Max 5x月額$100Proの5倍の利用量。優先アクセス
Max 20x月額$200Proの20倍の利用量
Team Standard月額$25/席(年払い)チーム管理機能、SSO対応
Team Premium月額$150/席(年払い)Claude Code・Cowork利用可。Standardの5倍の利用量
Enterprise要問い合わせ500Kコンテキスト、HIPAA対応、監査ログ、カスタムデータ保持
Agents for financial servicesの料金

金融業務では大量の文書を処理するケースが多いため、プロンプトキャッシュ(キャッシュ入力コスト90%削減)やBatch API(全トークン50%オフ)の活用が実質的なコスト削減に直結します。Opus 4.6とSonnet 4.6は100万トークンのコンテキストウィンドウを追加料金なしで利用できるため、大量の財務書類を一度に処理するワークロードにも適しています。

Agents for financial servicesのライセンス

Agents for financial servicesのエージェントテンプレートは、AnthropicがGitHubのfinancial-servicesリポジトリで公開しているリファレンスアーキテクチャです。企業は自社のモデリング規約やリスクポリシーに合わせて自由にカスタマイズできます。

スクロールできます
項目可否
商用利用⭕
改変⭕
再配布⭕(Anthropicの商用利用規約に従う必要あり)
特許利用⭕
私的利用⭕
Agents for financial servicesのライセンス

GitHub公式リポジトリのライセンスを確認したところ、Apache License 2.0が適用されていました。Apache 2.0は商用利用・改変・再配布・特許利用のいずれも許可するオープンソースライセンスで、著作権表示とライセンス文の保持を条件としています。

Agents for financial servicesの使い方

ここからは、Agents for financial servicesを使い始めるための手順を、3つの方法ごとに解説していきます。

Claude Code CLIからインストール

最も確実なのは、Claude Code CLIを使ったインストール方法です。ターミナルから以下のコマンドを実行するだけで、プラグインのインストールが完了します。

STEP

マーケットプレイスを追加

まず、Agents for financial servicesのマーケットプレイスをClaude Codeに登録します。

claude plugin marketplace add anthropics/claude-for-financial-services
STEP

コアプラグインをインストール

comps-analysis(類似企業分析)やDCF、LBOなどの基盤スキルを含むFinancial Analysisプラグインを最初にインストールします。

claude plugin install financial-analysis@claude-for-financial-services
STEP

エージェントやアドオンを追加

業務内容に応じて、必要なエージェントやバーティカルプラグインを追加インストールします。

# エージェントプラグイン(業務を一気通貫で処理)
claude plugin install pitch-agent@claude-for-financial-services
claude plugin install gl-reconciler@claude-for-financial-services
claude plugin install market-researcher@claude-for-financial-services
claude plugin install earnings-reviewer@claude-for-financial-services

# バーティカルプラグイン(業界別のスキルセット)
claude plugin install investment-banking@claude-for-financial-services
claude plugin install equity-research@claude-for-financial-services
claude plugin install private-equity@claude-for-financial-services
claude plugin install wealth-management@claude-for-financial-services

上記のコマンドがうまくいかない場合は、以下の通りリポジトリをローカルにクローンして直接インストールすることも可能です。

git clone https://github.com/anthropics/financial-services.git
cd financial-services
claude plugin install ./plugins/vertical-plugins/financial-analysis
claude plugin install ./plugins/agent-plugins/pitch-agent
STEP

スラッシュコマンドでタスクを実行

インストール後、CoworkまたはClaude Codeのチャット欄で「/」を入力するとスキル一覧が表示されます。主なコマンドは以下のとおりです。

/comps [企業名]     … 類似企業分析を実行
/dcf [企業名]       … DCFバリュエーションモデルを構築
/lbo [企業名]       … LBOモデルを作成
/earnings [企業名] [四半期] … 決算後アップデートレポートを生成
/one-pager [企業名] … 1ページの企業プロファイルを作成
/ic-memo [案件名]   … 投資委員会メモを下書き
/client-review [顧客名] … クライアントミーティングの準備

Claude CoworkまたはClaude Codeのプラグインとして使う方法

STEP

financial-servicesマーケットプレイスにアクセス

Anthropicが公開しているGitHub上のfinancial-servicesリポジトリにアクセスし、利用したいエージェントテンプレートを確認します。

Agents for financial servicesの使い方
参考:Agents for financial servicesの使い方

確認できたら、Claude Desktopアプリを開き、CoworkもしくはCodeタブの左サイドバーにある「Customize」をクリック。

Agents for financial servicesの使い方

その後、「個人用プラグイン」の横の「+」ボタンをクリックします。表示されるメニューから「+ プラグインを作成」にカーソルを合わせると、サブメニューが展開されるので、「マーケットプレイスを追加」を選択します。入力欄にリポジトリURLを貼り付けてください。

https://github.com/anthropics/financial-services-plugins
Agents for financial servicesの使い方
STEP

プラグインを有効化

マーケットプレイスが追加されると、金融サービス関連のプラグインが確認できます。「Finance 」(コアプラグイン)をインストールしてください。このプラグインには共有ツールや各種データコネクタが含まれており、他のすべてのプラグインが依存する基盤となります。

STEP

データコネクタを接続

必要に応じて、FactSet、PitchBook、Moody’sなどのデータコネクタを設定します。コネクタはガバナンス付きのアクセスを提供するため、企業のセキュリティポリシーに沿った運用が可能です。

STEP

エージェントにタスクを指示

例えば、Pitch builderエージェントにターゲットリストを渡すと、類似企業比較の実施、Excelモデルの構築、PowerPointピッチブックの下書きまでを一連の流れで処理します。出力はすべてレビュー・承認するようにしましょう。

Claude Managed Agentsとして使う方法

STEP

Claude APIキーを取得

Claude Platformにログインし、APIキーを発行します。

Agents for financial servicesの使い方
STEP

ベータヘッダーを設定

Claude Managed Agentsは現在ベータ版のため、APIリクエストに以下のベータヘッダーを付与する必要があります。

managed-agents-2026-04-01

SDKを利用する場合はこのヘッダーが自動的に設定されます。

STEP

リポジトリをクローンしてデプロイ

GitHub上のfinancial-servicesリポジトリをクローンし、デプロイスクリプトを実行します。

git clone https://github.com/anthropics/financial-services.git
cd financial-services
./scripts/deploy-managed-agent.sh pitch-agent

このスクリプトは、スキルのアップロード、サブエージェント(リーフワーカー)の作成、POST /v1/agentsへのエージェント登録をまとめて処理します。

STEP

環境(Environment)を構成

Pythonやnode.jsなどがプリインストールされたクラウドコンテナテンプレートを設定し、ネットワークアクセスルールやマウントするファイルを指定します。

STEP

セッションを開始してタスクを実行

エージェントが起動したら、ステアリングイベントとしてタスクを送信します。各エージェントには専用のイベント形式が用意されています。

# Pitch Agentの場合
Build pitch book: <ターゲット企業> / <買収企業>, thesis: <投資テーマ>

# Earnings Reviewerの場合
Process earnings: <ティッカー> <期間>

# Month-end Closerの場合
Close <エンティティ> for period <YYYY-MM>

STEPアウトプットをレビュー エージェントは./out/ディレクトリにExcelファイルやレポートを出力します。すべての成果物はクライアントへの送付や台帳への記帳前に、必ず担当者がレビュー・承認するようにしましょう。

【業界別】Agents for financial servicesの活用シーン

Agents for financial servicesは金融業界向けに設計されていますが、そのカバー範囲は非常に広く、フロントオフィスからバックオフィスまで多岐にわたる業務に対応しています。そこで、業界セグメントごとに想定される活用シーンを確認していきましょう。

投資銀行

投資銀行のアナリストにとって、ピッチブック作成は最も時間のかかる業務の1つだと思います。

そこで、Pitch builderエージェントを活用すれば、ターゲットリストの作成から類似企業比較、プレゼン資料のドラフトまでを一気通貫で処理することができます。Model builderエージェントと組み合わせることで、SEC提出書類やデータフィードから財務モデルを自動構築し、更新まで担わせることも期待できます。

金融業界における生成AI活用について、詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。

銀行・保険

KYC screenerエージェントは、エンティティファイルの組成、ソース文書のレビュー、コンプライアンスレビュー用のエスカレーションパッケージの作成までを担ってくれます。保険会社においてはVeriskコネクタを介して、損害保険データにアクセスし、引受判断やクレーム分析への活用が期待できます。

銀行・金融業界におけるDXについて、詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。

経理・財務部門

Month-end closer(月次決算クローザー)エージェントは、決算チェックリストの実行、仕訳入力の準備、決算レポートの生成を行います。General ledger reconciler(総勘定元帳照合)エージェントと組み合わせることで、勘定照合からNAV計算までの一連のプロセスを効率化することが期待できます。

経理業務における生成AI活用について、詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。

【課題別】Agents for financial servicesが解決できること

Agents for financial servicesは、金融機関が抱えるさまざまな業務課題を解決してくれます。ここからは、代表的な課題ごとに整理してご紹介します。

ピッチブック作成の効率化

例えば、投資銀行のアナリストがピッチブック1件を仕上げるには、データ収集、類似企業分析、プレゼン作成と複数のステップを経る必要があります。

Pitch builderエージェントは、ターゲットリストを入力として受け取り、Excelの比較モデル、PowerPointのデッキ、Outlookのカバーレターをまとめて生成することで、この作業時間を大幅に短縮することが期待できます。

月次決算プロセスの属人化とミス削減

月次決算は多くのチェック項目と手作業が伴い、担当者のスキルに依存しますよね。

そこで、Month-end closerを使うことで、決算チェックリストに沿って作業を実行し、仕訳エントリーを準備したうえで決算レポートを自動生成します。手順が標準化されることで、人的ミスの削減と作業の平準化が期待できます。

KYC/コンプライアンス審査のボトルネック解消

顧客の本人確認やリスク審査は、膨大な書類のレビューと照合作業を伴うことと思います。

そこで、KYC screenerエージェントを使うことで、エンティティファイルを自動で組成し、ソースドキュメントをレビューしたうえで、必要なエスカレーションを整理してコンプライアンスチームに引き渡します。

Agents for financial servicesを使ってみた

それでは実際に、Agents for financial servicesの性能を確認するため、comps-analysisスキルを使った類似企業分析をしてもらいましょう。

comps-analysisスキルで類似企業分析を生成してみた

今回はClaude Code上で、Microsoftの類似企業分析を実際に生成してみました。ターミナルで以下のコマンドを入力します。

/financial-analysis:comps Microsoft
Agents for financial servicesを使ってみた

するとスキルが読み込まれ、Claudeがウィザード形式で4つの分析条件を順番に確認してきます。今回は以下のとおり選択しました。

スクロールできます
ステップ質問選択した回答
Analysis purpose分析の主な目的は?Valuation benchmarking
Peer groupどのピアグループを使う?Mega-cap tech:GOOGL、AMZN、AAPL、META
Data source財務データのソースは?公開情報(public filings)を使用
Time period分析期間は?LTM as of most recent quarter
4つの分析条件

なお、Data sourceの選択肢にはFactSet MCPDaloopa MCPS&P Global MCPも用意されており、選択するとOAuth認証画面が表示されます。MCPコネクタの契約があれば、機関投資家グレードのデータを直接取得できる設計になっていました。

条件を確定すると、ClaudeはFY2024の監査済み財務データと2026年1月時点のマーケットデータをベースに、Excelファイルが出力されました。

Agents for financial servicesを使ってみた
Agents for financial servicesを使ってみた

ここまでの実行時間はわずか3分ほど。生成されたファイルの構成は以下のとおりです。

スクロールできます
項目内容
オペレーティング指標売上高、売上成長率、粗利益、粗利率、EBITDA、EBITDAマージン、純利益、純利益率
バリュエーション・マルチプル株価、希薄化後株式数、時価総額、ネットデット、EV、EV/Revenue、EV/EBITDA、PER
統計ブロック最大値・75パーセンタイル・中央値・25パーセンタイル・最小値
注記・手法セクションデータソース、定義、制約事項
Excelファイル構成

Claudeの分析サマリーによると、MSFTはEV/Revenueで約12.5倍とピア中央値(約8.8倍)を大きく上回るプレミアム水準で取引されており、Azure/AIミックスの評価が反映されているとのこと。一方、PERは約35倍でピア中央値とほぼ同水準という結果でした。

すべてのマージンやマルチプルがExcel数式として記述されており、入力値を変更すればすぐに再計算される設計になっています。ハードコードされた入力値には10-Kの出典を示すセルコメントが付与されるなど、投資銀行の実務品質に準拠した出力になっていました。

よくある質問

最後に、Agents for financial servicesについて、多くの方が気になるであろう質問とその回答をご紹介します。

Agents for financial servicesは無料で使えますか?

エージェントテンプレート自体はGitHubで公開されていますが、実際にプラグインとして利用するにはClaude Pro(月額$20)以上の有料プランが必要です。Claude Managed Agentsとして利用する場合はAPIのトークン料金が発生します。

Claude Opus 4.7以外のモデルでもエージェントは動作しますか?

動作自体は可能ですが、Anthropicは金融タスクにおける性能を理由にClaude Opus 4.7を推奨しています。Vals AI Finance AgentベンチマークではClaude Sonnet 4.6も63.33%で2位につけているため、コストとのバランスを考慮してSonnet 4.6を選択する運用も検討できます。

日本の金融機関でも導入できますか?

Agents for financial servicesはグローバルに利用可能で、みずほ証券が導入事例として公式ページで紹介されています。ただし、日本の金融規制やデータレジデンシー要件に対応するためには、AWS BedrockやGoogle Vertex AIのリージョナルエンドポイントの利用や、Enterpriseプランでのカスタムデータ保持設定を検討する必要があります。

Agents for financial servicesで金融業務のAI活用を加速しよう

Agents for financial servicesは、ピッチブック作成からKYC審査、月次決算まで、金融業界の主要な業務課題を10種類のすぐに使えるエージェントテンプレートで解決する包括的なソリューションです。

Claude Opus 4.7が、Vals AI Finance Agentベンチマークで業界首位の64.37%を記録していることからも、金融タスクにおけるClaudeの実力は十分に裏付けられています。Microsoft 365との統合や、FactSet・Moody’sをはじめとする豊富なデータコネクタにより、既存の業務フローを大きく変えることなくAIエージェントを導入できる点も大きな魅力です。

金融業界でのAI活用を検討されている方は、まずGitHub上のfinancial-servicesリポジトリを確認し、自社の業務に合ったテンプレートがないかチェックしてみてはいかがでしょうか。

最後に

いかがだったでしょうか?

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